2010年9月29日水曜日

気まぐれ愛情弁当


食器棚の整理をしていたら、お弁当箱がでてきた。
そういえば、こんなのあったっけ。忘れてた〜。
何年か前に日本に帰省した時、たまにはお弁当もいいなと思っ
て、食洗機でも洗える漆風の男前なお弁当箱を買ったのだ。

夕飯の後、「明日お弁当作ろうか?」となに気に聞く。
思いがけない妻の発案に、二つ返事で食いついてくる夫。
毎日代わり映えのしないカフェ飯に、いい加減飽きていたらしい。
毎日なんて冗談じゃないけど、週一くらいだったら楽しいかも?!
お弁当の彩りや栄養も考えたりして、たまにはにわか良妻?!
らしいこともやらなくっちゃ申し訳ない気もする。

そんなこんなで、いつもより20分早起きしてお弁当作り。
前日のタイ風鍋で残ったイカ豚団子をミニハンバーグにして、
柚子コショウであっさり味付け。冷蔵庫にあった赤ピーマンと
ズッキーニはそれぞれにんにくを効かせたキンピラ風、そして
ウインナーと卵焼だ。
どうだ、これぞお弁当の大道じゃないか!
いや、やっぱりここに唐揚げがなくっちゃ、大道とは呼べないか。
ちょっとずつ余ったおかずで息子のミニ弁当もついでに作っちゃ
おう。今日は午後からバスケットの試合があるはずだから、きっと
お腹を空かせて帰って来るにちがいない。

手作り弁当にシジミのみそ汁(インスタント)のランチ。
Quel luxe !!!
おにぎり1個とおかずが少し入る息子のおやつ用お弁当箱。


たまにはお弁当作りも楽しくていい。
いつまで続くか判らないけど、来週のメニュはもう決めた。

2010年9月26日日曜日

黄金のイカめし


日本語学校の後、頼まれたオリーブオイルを持ってモンパルナス
のM帆ちゃんの家に行く。

玄関を入ると、なにやら煮込みのような食欲をそそる香りが.....。
さっそくキッチンをのぞくと、圧力鍋の中にはプリップリのイカが
ならんでいる。
「今日はイカめし〜!」
え〜ッ、イカめしって自分で作れるの?!
デパ地下で買って食べたことはあるけど、家で作るなんて考えた
こともない。スゴいすごい、プロの料理人みたいだ。
そういえば、M帆ちゃんの手料理ははじめてかも。
ピクニックの時に持って来てくれたちらし寿司は、野生のアスパラ
が入っててとっても美味しかった憶えがあるな...。
でも前回来たときはTOYOのシェフ、Nくんがキッチンに立っていた
し、自分の家でも料理上手な友だちがいると、さらりとキッチンを
任せて本人はまったく無頓着な様子で、飲んだりおしゃべりしてい
たっけ。
ヤッホ〜、今日は楽しみだ。

「まずは子供たちを先に食べさせて、大人はその後ゆっくりね」
クミンで香り付けした鶏のもも肉を焼きながら、馴れた手つきで手
際よくサラダの準備をする。
フランス人のご主人Aもみんなのグラスに白ワインを注いだり、子供
たちの世話を焼いたり....甲斐がいしくって微笑ましい。


ポリポリの食感が最高、キュウリの酢みそ

黄金のイカめし

サーモンのお刺身ではじまった今夜のごはん。
キュウリの酢みそ和え、インゲンのごま和えと家庭的な野菜料理が
続く。瑞々しいキュウリの歯ごたえ、いんげんの繊細な甘み、野菜
はイエナの市場チボーさんの有機野菜と聞いて納得。
やっぱり他とは比べものにならないほど、しっかり野菜の味がする。
薄切り豚のネギ炒め、鴨のローストに自家製の柚子コショウを合わ
せたさっぱりめのお肉料理が続き、いよいよイカめし登場。
大振りで肉厚のイカを探すのに苦労したらしい。
素材選びに時間をかけた丁寧なお料理、器遣い、すみずみまでオシャ
レなM帆ちゃんらしいこだわりが感じられる。
今まだ食べたイカめしの中でも、間違いなくダントツ一番の美味しさ
だった。

ロンドン&パリののみの市で集められたインテリアもステキ
子どもたちのらくがき

なんと明日はM帆ちゃんの誕生日だという。知らなかった。
0時まであと1時間と少し。
慌ててピンクシャンパンを買いに走る。
子供たちもそろそろお眠〜な様子。
目をこすりながらがんばって.....日が明けて
「BON ANNIVERSAIRE!!!」
お誕生日おめでとう。


モデル&イラストは娘のMち8歳
わんぱく盛りの息子V3歳

2010年9月25日土曜日

オリーブオイル 2


またまた極うまオリーブオイルを見つけた。

夕べ食事に呼ばれて行ったPascaleのうちで出されたオイル、
青リンゴのような微かに甘い香りの中にも、野性的な力強さ
があって、あまりの美味しさに思わずのけぞってしまった。
聞けば、ご主人のHervéがブルターニュに行った時にレスト
ランで出されすっかり気に入り、頼み込んで譲ってもらった
ものだという。
ORO BAILEN スペイン、アンダルシア地方のバレイン産で
作られているもので、世界的な賞もたくさん受賞しているら
しい。今までなぜだかイタリア産のオリーブオイルばかりで、
スペイン産には縁がなかった。知らないだけで、他にも美味
しいオイルはたくさんあるだろう。
ワイン同様、オリーブオイルも奥が深くて面白い。


オンラインショップでも買えるらしい

「会議が長引いちゃって、大した用意ができなかったのよ」と申し
訳なさそうに言うPascale。
そういえば、来週からパリコレも始まるんだっけ。
慌ただしい時期なのに、忙しい思いをさせてしまったな....。
この夜、集まったのは靴デザイナー、アタッシュプレス、イベント
のオーガナイザーなど、この業界で仕事するPascaleの友人たち。
みんなが顔を揃えて食事が始まったのは、すでに23時近くだった。



ブラータ&ルッコラのサラダ
オーブンから出てきた子羊のロースト

ヴァカンスのはなし、食事のはなし、そして問題になっている中国の
批判.....とおしゃべりはとまらない。
明日の仕事のことはひとまず忘れて、ワインを片手に大人の時間....。
しとしとと小雨が降る秋の夜、パリの夜は静かに更けて行く。



2010年9月23日木曜日

オリーブオイル

Fattoria di Morello社のオリーブオイル。 
海外発送は1リットル缶のみ 

今朝、イタリアから注文していたオリーブオイルが到着した。
フィレンツェの北、Monte Morelloの丘で作られているこのオイル
を知ったのは5、6年前のこと。
Ricceriというイタリアの老舗生地屋が自家栽培しているオリーブ畑
で極少量、家族や顧客のために作られているものらしく、簡単に
手に入るものではないらしい。
イタリアでは広大な土地を持つファミリーが自家製のワインや
オリーブオイルを作っているという話をよく聞く。
このRicceriもウール素材の名門生地屋として、顧客にはエルメスや
アルマーニなど蒼々たるメゾンが名を連ねている。
なるほど〜、納得。
やっぱり歴史ある老舗の生地屋が作るものは、オリーブオイルだって
しっかりホンモノなのだ。

イタリア人の友だちで、夫の仕事仲間でもあったラファエロが
このオイルを毎年届けてくれるようになって以来、その野性味ある
力強い風味にすっかり惚れ込み、我が家の家宝として大切に味わい
ながら食されてきたのだった。
しかし2年前、突然そのラファエロが亡くなり、以降あれこれ美味
しいといわれるオリーブオイルを試してみたけれど、これ以上のモ
ノに巡り会うことはなかったのだ。

ひょんなことから、この幻のオリーブオイルが買えると知ったのは
ヴァカンス前のこと。
フィレンツェに食材屋を兼ねたレストランをオープンし、インター
ネットでもオイルが注文できるようになったという。
すぐに美味しいもの好きの友だちに声をかける。
「オリーブオイル注文します! 一緒にのる〜?!」
こういう時の反応は、みんな驚くほど素早い。
午前中のうちにほぼ全員回答あり。
で、1リットル缶を22個の注文。送料はみんなで折半することに。


野性味のある力強い風味が好み

オリーブオイルは油というより、風味を加える調味料の一つで
良質で香りの高い新鮮なものは、塩をひとつまみ入れただけで
極上のソースとなる。
どれどれ、さっそくデギュステだ。
濃厚なオリーブ色、トスカーナ産の早摘みらしい青々した草のような
香りがする。サラリッとした軽い口当たりは、以前と変わらず。
あ〜、これこそ至福の味?!

今夜はこのオリーブオイルがメインになるごはんにしよう。
まずは美味しいパンを買ってきて粗塩と一緒に。
完熟トマトでブリスケッタ、バジリコをたくさん入れて
カプレーゼもいいな。









2010年9月22日水曜日

自然療法


9月も半ばをすぎて、ようやくいつもの生活に落ち着いてきたか
な...と感じる今日この頃。
ヴァカンスの間すっかり怠けていた身体も、ジム通いを再開して
そろそろ本調子のはずが、なぜだか身体が重い。
最近、机に向かう時間が長いから、むくみやすくなっているのか
もしれない。手足が異常に冷たくて、血行不良になっている。
ゆっくり半身浴して、白樺オイルでリンパマッサージもいいけど、
身体の内側からなにかしたい気分.....。で、思い出した。
いつだったか興味半分でうけたリンパドレナージュ。
ほとんど肌をなでるだけの軽〜いマッサージだったけど、もうメロ
メロにとろけるような心地よさ。身体と精神は繋がっているとあら
ためて実感した憶えがある。

Anthyllide。
マレにある自然療法の専門店で、アロマやフィトセラピーといった
ナチュラル系の商品の品揃えは、かなりマニアックで他では見つか
らないものがいろいろあって楽しい。
植物療法のスペシャリストのマダムがあれやこれやと説明してくれる
けれど、聞いたことのない植物の専門用語ばかりでまったくちんぷん
かんぷん?!
なんども聞き返す私に、ゆっくりと丁寧に説明を繰り返すマダム....。
こういうナチュラル系のお店の人はホントに辛抱強い。いつも苛々
している近所のパン屋のおばさんとは、えらい違いだ。感心する。


Anthyllide
28.rue du Pont Louis Philippe 75004 PARIS

症状を伝えて、勧めてくれたのは3種類の植物樹脂のエキス。
ビルベリー、サイプレス、トチノキ。
この3つは血液の循環を整える効果があるらしく、冷えやむくみを改
善させるのだという。
中でもトチノキは身体の気を整える作用もあり、免疫力を高めながら
精神と身体のバランスを整えていくのだという。
「はい、これにします」2つ返事で即、決める。


Le Gattilier社は症状に合わせて、
数十種類の植物エキスが揃っている。

トチノキエキスは1回30滴を水に薄めて、これを一日2、3回飲む。
味は微かに甘く、ハーブ水のような香り。おいしいおいしい。

最近、ナチュラル系の健康食品や美容モノを扱うお店が増えてうれし
いけれど、何がホントによくて効果があるのか、正直よく判らない。
香りも好きだし、肌にも刺激が少ないし.....それにひょっとしたらこれ
を機会に身体がすっかり生まれ変わるかも?!というような、根本的
な体質改善も期待できる気がする。
植物の香りや樹脂のエキス、天然石のエネルギーといった、いまひと
つ得体の知れない神秘性も、奇跡的な効果を期待させる理由かもしれ
ない。
植物の生命力を借りて、人間が本来持ている自然治癒力を呼び起こ
す。それによって心身が癒されたり、健康や美容のバランスが整うよ
うになるには、それなりの長い長い時間が掛かるだろう。
でももし本当に自然の力だけでそれができたなら、こんなに清々しい
人間はいない。それこそ超人だ。
現実には子供が熱でうなされていれば、とにかくまずは解熱剤に頼る
し、予防接種だって受けなければ学校にも入れてもらえない。

そんなことを考えながら不条理な現実....いや、その前に自分自身に
つじつまが合ってないと思いながらも、自然療法への関心は止まない。
たまにはインスタントラーメンも食べたいし、即効性のあるアンチ
エージング化粧品だって欲しい。なんだけれど、そればかりじゃダメ
ダメ。時には自然界のエネルギーもたっぷり取り入れて、なにごとも
バランスが大切なのだ。

残念ながらAnthyllideで前にうけたリンパドレナージュは、もういな
いらしい。かわりにドイツの化粧品Dr.Hauschkaのコースがあったの
で、さっそく来週の予約を取った。






















2010年9月21日火曜日

スーパーウーマン


Sからランチのお誘い。
彼が勤めるbureau近くで打ち合わせを兼ねてごはんをということ
になり、国虎屋2で待ち合わせする。

Sはかつて夫と一緒にK社で仕事をしていた仲間で、親しいフラン
ス人の友だちのひとり。
あの頃は毎晩のように夜遊びに飛び回り、スラリッと色白のお坊
ちゃまという雰囲気だったのに、そんな面影はもうどこにもない。
20年の月日を経て、Sは体重100キロの恰幅のいいオーソン
ウェールズ風の紳士へと変貌し、いまや60人の部下を抱える
ブチョーさんになるまで立派に成長したのだ。
そう、人間は日々進化する生きもの。いつまでも若かりし頃の自
分を守りながら、コンサバに生きてはならないのだ?!


やっぱりコレが一番好き。みそ仕立ての国虎うどん
鶏の唐揚げ、甘酢が掛かったサラダ風


食事を終えて、外に出るとギンギラギンの日差し。
暑い。ファーマシーの外の温度計は26℃になっている。
St-Honoré通りを歩いてとらやへ向かう。
どこのカフェもテラスは人でいっぱい。
Coletteも相変わらず人の出入りが多いけど、洋服は売れている
のかな...?! 買い物袋を下げた人がいないから、たぶんここも
そんなに売れてないだろう。
来週からパリコレも始まるというのに、なんだか活気がない。
寂しいな。

とらやに行くと、偶然デザイナーのJさん親子にバッタリ会う。
最近、赤ちゃんが生まれておばあちゃまになられたらしい。
うれしそうに孫の話をしていたけれど、白髪を無造作にまと
めてハイヒールを履いた姿は、60歳をすぎても自信に溢れ
ていてステキだと思う。


サロン ド テは近所の編集者たちにも人気
和菓子も秋の装い

和菓子を箱に詰めてもらい、M香ちゃんのBureauに届けにいく。
トップクラスの写真家やデザイナーとのコラボレーションなどで、
Art Directerとして世界的に活躍しているM香ちゃん。
いつもは子供も交えて家族ぐるみのお付き合いだけど、今回は
仕事でお世話になる。
M香ちゃんの時代を読む感覚、鋭い視点、モードを愛するパッショ
ンにすっかり打ちのめされてしまう。
しばらく封じ込められていた感覚が、呼び起こされたような気分。
やっぱり恐るべし、スーパーウーマンだ。






2010年9月20日月曜日

秋晴れ

気持ちのいい秋晴れが続いている。
午後から気温は23℃まで上がるらしい。
こんな日は、ブラブラなんの当てもなく歩きたくなる。

夕方、打ち合わせを終えた後、マレを少し歩く。
毎日通る道も、カメラを持って歩くと不思議。
いつも見慣れた風景が、なんだか新鮮に見えてくる。



夕方のヴォージュ広場
みんなひなたぼっこ
マロニエもそろそろ色付きはじめるころ....
時刻は17時30分すぎ。
シュリー館の上に広がる9月の空

いつの間にこんなカフェができている....
ヴィラージュ サンポール


2010年9月17日金曜日

AOKIのランチOBENTO


パティスリー Sadaharu AOKIがランチを始めた。
場所はメトロSEGUR駅を出て徒歩1分、もともとSalon
de théだった店をリニューアルして、つい3日前にオープン
したばかり。

シェフは仲良し友だちのNちゃん。
自らもケータリング会社を運営し、通称「関西マダムNN」と
呼ばれている正統派美人のパワフル日本女子である。
彼女の作るお料理はフレンチ、和食、イタリアン、エスニック....
ジャンルにとらわれず、美味しいモノをおいしく食す家庭料理が
基本。シンプルながらも秘伝の調味料を絶妙に合わせた繊細な味
付けは、食通の日本人のみならずフランス人からも好評だ。

閑静な住宅街にあるサロン ド テ。

Nちゃんの仕事場、オープンキッチン

ランチは5種のおかずとごはん、そしてデザートがセットになった
日替わりOBENTO、19.5euros 。
この日は、
白みそ仕立ての人参生春巻き
ポテトサラダ
エリンギのフライ、タルタルソース
シャケのマリネ
牛ヒレ肉の豆乳バーニャカウダソース
おにぎり
デザート

美しいお料理がバランスよく並ぶOBENTO

ガラスの器にキレイに盛られたタパス風OBENTOは野菜、
魚、肉料理とバランスよく、Nちゃんらしい上品で優しい
味付けがうれしい。
カウンター席を陣取って、キッチンで仕事するNちゃんを
眺めながら、一緒に来たHちゃん&夫とワイワイごはん。
間もなく、友だちのM帆ちゃんがオープン祝いにやって来
て「なに〜?!ここの席だけ呑んべい横町になってるよ」
と言われ、慌てて小声で控えめに。
開店祝い!と名目して昼から白ワインを飲んでいるのは夫だ
けなんだけど.....。失礼!そう、ここはオシャレなサロン ド テ
だったんだ。

本日のデザート、どれもAOKIの定番人気ケーキばかり

デザートはAOKIの人気のケーキの中から1品、好きなもの
が選べるという。甘いモノ好きにはたまらない。
抹茶に小豆、フランボワーズ.....どれにしようか迷いながら
も、結局みんな違うモノを頼んで一口もらうことにする。
軽めのお弁当もしっかりデザートを頂いて、お腹もちょう
どいい。
1時半をすぎると15、6席の店はあっという間に満席に
なってしまった。
日替わりOBENTOの中身は毎日替わるそうで、今後は他に
パスタなど新作メニュもたくさん登場するというから楽し
みだ。


抹茶や小豆のヴィエノワズリーも大人気



Sadaharu AOKI
25.rue Pérignon 75015 PARIS


2010年9月14日火曜日

bigarrade


数日前、友だちのAちゃんから「ビガラードを予約していたんだ
けど、一緒に行くはずの人がキャンセルになっちゃったから、
よかったら誰か誘って行ったら?」と親切なお声が掛かる。
ビガラード、なかなか予約が取れないレストランという噂は聞い
たことがある。先日20年のパリ滞在に終止符を打って帰国した
Yちゃんも「いろいろ行ったけど、ここのフレンチには感動した」
と言ってたっけ。
早速、美味しいモノ大好き友だちのY子さんを誘って出かけることに。

17区の外れにある小さな店はオープンキッチンが半分を占め、
20人も入ればいっぱいになってしまうほど小じんまりしている。
予約の12時半をかなり過ぎて30分遅れで到着すると、すでに
満席。日本人の客が多いと聞いていたけれど、この日は私たちだけ。
年齢的にはミディアム層のムッシュとマダムがプライベートでお食
事という雰囲気だ。
メニュは45、65ユーロの二つ。お昼なので軽めの方を頼む。

アミューズに出てきたのは、フォカッチャとトスカーナ産オリーブ
油。中国茶の小さな茶碗に入ったオイルがかわいくて、思わず飲ん
でしまいたい気分だ。



続いて、小魚のフライにグリルしたライムが添えられて登場。
ピリッとくるのは、なんと黒七味。粗塩の加減も程よくて、
一昨日イタリアンで食べたフライに比べると、かなり軽くて
上品な仕上がり。


つぎに運ばれてきたのはお肉料理。
厚切り牛のカルパッチョ。ネギにエゴマ油、そしてここにも
黒七味が....。柔らかい極上生肉にエゴマの香ばしい香りが絡
みまったりと舌の上でトロけていくようだ。



3皿目はCHIPIRON。
グリルしたプリプリの小イカにほうれん草&コリアンダーを合わ
せたサラダ風。ここでもエゴマ油が使われていて、ホッとするよ
うな和風仕立てになっている。



まもなく運ばれて来たのは大きめのお皿にのせられた
ROUGET&鴨の舌、イチジク。
お皿の白い部分が広すぎてちょっと写真映えしないけれど、
お皿が大きすぎるわけじゃない。お料理が美しくとっても
上品すぎるのだ。
ROUGETはイトヨリに近い白身魚で、皮がパリッ中は半生
の絶妙な焼き加減が最高だ。醤油ベースのソースもピッタリ
合っている。
その横のピョロッとしたキツネ色のモノが鴨の舌。
見た目、食感はフォアグラ?! でももうちょい歯ごたえが
あるかな。フォアグラを食べた時のような脂味が微かに舌に
残る。
なるほど〜、それで柚子コショウとイチジクが添えられてい
るんだ。納得。




お料理の締めは、ふたたび魚。
柚子風味の鯛のグリル、そしてナスの田楽が運ばれて
くる。ここにイカスミと燻製したにんにくを合わせた
ペーストとシェーブルが添えられている。
ナスはほぼ田楽の原型に近い京風白みそ仕立てで、ほど
よい甘みの焦がしみそがうれしい。軽めのシェーブルも
西京味噌と絶妙に溶け合って、意外や意外、面白い。




「結局、全部でなん品出てきた?」とY子さん。
え〜、なん品だっけ? 食べるのとおしゃべりに夢中で、
数えるのをすっかり忘れていた。写真も全部撮れてないかも....。
ひとつひとつが軽くて少量、でもこれだけ手を掛けた繊細な
お料理が食べられるとは....。
人気の店で2ヶ月先まで予約が取れないとは聞いていたけれど、
まったく期待以上、感動ものだ。
実は私たち、この店が今年ミシュランの2つ星を取ったことな
どまったく知らず、いつものお気楽ランチ「新学期もあけたし、
たまには女同士でフレンチもいいね〜」だったのだ。

3種のチーズの後は、デザート。
こちらもすべてプティサイズで出てくる出てくる、美しいデザー
トたちが....5、6皿出てきた気がする。
最近フランスではこの店のように、和風だしや日本の調味料を使
うソフィスティケートされたフレンチレストランが増えている。
「日本料理をリスペクとして、こんなに愛してくれてうれしいね」
と、いつも手厳しいY子さんも満足した様子。


カカオがのったカシスのムースはレタスと一緒に食す


レモンのムース赤ピーマンのゼリー仕立て
濃厚チョコレートのムースもビターで大人の味わい


食事を終えて、店を出るとすでに4時近い。
私だけお昼からこんなに美味しいごはんを食べて、
夫と息子にちょっと申し訳ない気もする。
そうだ、最近オペラにできて評判の日本人パンや「AKI」で
おやつを買って帰ろう。心ばかりの罪滅ぼし?!
焼きそばパンに、あんぱん、カレーパンもいいな。





2010年9月11日土曜日

最後の夏日


珍しく、朝から清々しい青空がひろがっている。
家にこもって机に向かっていたって、今日明日に片付く仕事
でもない。だったら思い切って外へ出かけた方が、ずっと
気持ちよくて有意義なはずだ。
さあ〜、外に繰り出そう。

午後から夫と息子を誘ってサンジェルマン界隈へ。
本屋をのぞいたり、カフェのテラスでのんびり過ごす。
街の中は、どこもものすごい人で溢れている。
ヴァカンスでたっぷり日焼けした肌を、これが最後の太陽と
ばかりに大胆に晒して日光浴する人たち...。
そう、ここは日傘も日焼け止めも無用。シミもそばかすも人生
の勲章みたいなもの?! 
とってもフランスっぽいくていいじゃないか。
私は絶対にマネしたくないけれど...。

Mちゃんから突然、夕ご飯のお誘い。
「気持ちいいからテラスでごはんしない?」
もちろ〜ん! 二つ返事で決定。
Mちゃん親子にHちゃん親子&我が家の7人で、Chemin vertの
イタリアレストランへ行く。


カリカリに揚がった小魚のフライ
程よく塩の利いたピザ生地が後を引く、人気のルッコラのピザ
定番アサリのボンゴレビアンコ
本日のお勧め、セップ茸とイタリアンソーセージのパッパデーラ
大人も引いたピリ辛ペンネアラビアータ。
子供たちがペロッと平らげてビックリ!?


子供たちは新学年を迎えて、さっそく新しいクラスの様子を
話してはクスクス、和気あいあいと楽しそう。

日もだいぶ短くなってきた。
9月も半ば。夏の名残を惜しみながら、今夜も長い夜が更けて行く。

2010年9月10日金曜日

お目覚めジュニパー


夕べはI家で夕ご飯をごちそうになり、久々の午前さまとなる。

奥方Y子さんの心尽くしのお料理を味わいながら、この夏休みに家族
で旅したペルーの話や、写真を見せてもらったりしているうちに、
気付いたらあっという間に0時すぎ。
帰国が決まった駐在マダムのMちゃんも一緒に、最後のご飯というこ
ともあって、ちょっと名残惜しい気持ちで時間がたつのをすっかり
忘れていた。
いけない、うちにはひとりで留守番している息子がいたんだ。
もうとっくに寝ているはずだけど、明日は7時に起こして学校に送り
出さなければ。
慌ててバタバタとおいとまする。


和風だしで煮込んだ無花果。
風味豊かなごまダレが効いている本格的なお料理。
プリプリ肉厚の新鮮イワシにタマネギ&
ショウガがたっぷりの和風マリネ。
どれも美味しくて、
キレイにみんなの胃の中に収まりました....。

う〜ん、朝が辛い。
パジャマ姿のまま、みそ汁を食べさせて息子を送り出す。
取りあえずぬるめのお風呂にゆっくり漬かって、目を覚まそう。
こんな朝はアロマオイル、ジュニパーがいい。
ジュニパーには解毒や殺菌作用があるらしく、若松に似たフレッ
シュな香りが怠い身体をジワジワ目覚めさせてくれるのだ。

さあ〜、今日も予定がいっぱい。
元気を取り戻していかなくちゃ〜!




信頼できる自然療法ブランドKneippから出ている
バスオイルは、使いやすくて値段も手頃。

2010年9月7日火曜日

国虎屋2


ヴァカンスが開けてまだ間もないのに、またもやストライキだ。
交通機関、学校、役所など公共の機能がほぼ休業。
フランス全土が完全にマヒ状態になってしまう。
息子の学校はプライベートなのでストは関係ないけれど、脚が
ないので授業は午後から始めるという。
新学期を迎えてまだ数日、緊張感の中でやる気満々になっている
のに、これじゃ子供たちのモチベーションも下がるじゃないか....。

ヴァカンスから戻って以来、グ〜タラ病で調子が全然出ないまま
スタートしたこの9月。
いい加減にセイッ〜! 身体にムチ打って?!まずは揺るめにジム
を再開。ため込んでいた仕事をとっとこ片付けて、次に納戸の整理
に息子の部屋の模様替え....と徐々に調子を取り戻しながら、1週間
が過ぎてようやく完全復帰だ。
今日はヘアカットの予約が入っている。
そう、なんだかんだいっても女は見かけが大事。
たまにはヘアサロンやエステにたっぷり時間とお金をかけて、磨か
ないとあっという間にサビ付いてしまうのだ。
急げ急げ、MASSATO SALONだ〜!
そういえば、今日はストでメトロが動いてないんだっけ。
でもキャンセルするわけにはいかない。
仕方がない。
自転車を飛ばしてMarboeufのサロンまで行くことにする。

1時間半もの間、鏡に映った自分の姿に向かい合い、愕然としなが
ら深〜く考えさせられることは多い。
そう、ヘアサロンは自分を戒める時間でもあるのだ。
でもキレイに仕上げてもらってサロンを出るときは、まるで生まれ
変ったみたいなウキウキ気分になるから驚きだ。
あまりに気分がよくて、ちょこっとのぞいたCHLOEで危うくコート
を衝動買いしそうになったくらい。
これはたぶん女にしか判らないマジックだ。

夜、同じようになにかいいことがあって気分上々、ハイテンション
になっていた夫と合流して、友だちのレストラン「国虎屋2」へ行く。
1号店同様に、こちらも相変わらずの人気でほぼ満席だ。
カウンター席で厨房のMちゃんの仕事ぶりを拝見しながら、シャンパ
ンを飲む。ここは言わずと知れたVIP席で、お店自慢の和風タパス料
理をあれこれ楽しむには最高の特等席なのだ。
きびきび仕事するMちゃんが私たちの様子の見ながら、絶妙なタイミ
ングで小皿を出してくれる。
アミューズには、シュー生地に納豆をつめたシュー納豆とキノコのフ
ラン。これは面白い取り合わせ。
フレンチ出身のMちゃんがもっとも得意とする創作料理だ。
すき焼き風コロッケ、牛タンのあぶり焼きと大根煮、牛ヒレの炭焼き
とお肉料理をしっかりオーダー。その合間にあっさり仕立ての野菜の
小鉢もちょこちょこ。締めはもちろんシコシコの手打ち讃岐うどん。
今夜は特製冷山うどんじゃ〜。

人気メニュ、温泉卵にからめて頂くすき焼き風コロッケ

江戸末期? タパスの小皿もレトロでステキ!

外カリカリ中ジューシーの牛タンに
大根の煮汁が溶け合う繊細な一品
上質なヒレ肉をユズコショウの辛みと
イチジクの甘みが引き立てている


調子にのっておしゃべりが止まらない夫に、ほぼ呆れながらも
優しく気遣ってくれるMちゃんと、そのスタッフたち。
美味しくて、さらにこんな風に居心地のいいお店は、そんなに
たくさんあるものじゃない。
今日のような、なんとなく気分がいい日にちょこっと立ち寄りたい、
大事なお店のひとつだ。