2011年3月29日火曜日

フランス人の思い

東北地方太平洋沖地震の被害にあった皆様に、
心よりお見舞い申し上げます。

3週間ぶりのブログ再開。
シャンパン協会主催の日本救済イベントのため、夕方パリから
北東に130キロの街、ランスに出かける。

夕暮れ時の優しい光に広がるシャンパン地方の葡萄畑を眺め
ながらも、思いは祖国日本のこと。
震災から2週間が経ち、ようやくこの厳しい現実を受け止められる
ようになってきたけれど、心が晴れることはない。
だけど悲しい気持ちをいつまでも引きずって、じっとしている
わけにもいかない。
遠く離れた異国パリで私たちにも出来ること...ずっと考えていた
けれど、いまはこの思いをできる限りのお金に代えて送ることしか
出来ないのだと思う。

あの衝撃的な震災以来、ここフランスでも日本復興のための
救済活動が日に日に増えている。
日頃からフランス人は個人主義で協調性がないと言われてる
けれど、弱者の救援支援となると見違えるほど人道的になる。
そういえばハイチの時もそうだった。
意外と情け深い人種なんだよね...。

会場のホテルには日本国旗と盆栽

チャリティイベントの会場となったルレ エ シャトーのLes Crayéres。
入り口には日本国旗と盆栽が....。なんで盆栽?!
しかも中途半端にサイズが大きい。どうせなら桜かなんかにすれば
いいのにな〜と思いながら、会場内へ。

今回参加しているメゾンはRoederer,Taittinger,Lanson, Deutz,
Pommery,Tailleventなどなど錚々たる名家。
それぞれの秘蔵お宝シャンパンが日本のために大放出される
というわけだ。
各メゾンがディナーの席を買いお得意の上顧客を招待し、客たちが
競っていくという、なんとも合理的なスタイル。
盛装した地元の名士たち、パリから招待された著名人たち200人で
会場はとても華やかな雰囲気。
震災の悲惨な場面には全然似つかわしくないけれど、被災者への
思いはみんな一緒なのだろう。

オークションにかけられたシャンパンのリスト
日本に思いを馳せて、
天ぷらと寿司のアミューズが。
親日家のクリステルと息子のジルは
F1 Podium / G.H.MUMMを落札!

食事が一段落ついたあたりで、まずは主催者のご挨拶。
続いて国民的人気キャスターPatrick Poivre d'Arvorが日本の被災地に
向けてメッセージをおくり、オークションが始まった。
スタートは300ユーロから。500、700,1000とみるみる
値段が上がって行く。
リストに載っているシャンパンは全部で35本。
Magnum/1500ml,Jéroboam/3000ml,Mathusalem/6000mlとサイズも
超太っ腹の豪華さだ。
夫がリストの中からDutzを見つけて、500ユーロまでだったら
いっちゃおうか?なんて言ってたが、もう全然ケタが違う〜!
あれよあれよの間に1800ユーロまでつり上げられ、思わず仰け
反ってしまった。
おそらく今夜のシャンパン、どれだけ秘蔵といってももとは
オークション価格の10分の1もしないだろう。
目的は義援金を送ること。ただお金を送るだけよりもというわけだ。

最高価格がついたのは1999年Cristalの12000ユーロ。
黄金色の麗しきクリスタル〜! 
落札したあの薄毛のオジさま、一緒に飲ませてくれないかしらね?!
総額なんと20万ユーロ、素晴らしい〜! 
この義援金は日本赤十字社を通して、被災地に送られるそうだ。

国民的キャスターPPDAのご挨拶

司会者の後ろにも盆栽が....
ちょっとマヌケ?!

帰り際、私たちのところに歩み寄って握手を求める人たちがいた。
「がんばってくださいね」
そう、ここで日本人は私たち夫婦だけ。今夜はニッポン代表なのだ。
シャンパンの輸出先として日本は世界で1位、30%のシェアを
占めているらしい。シャンパン業界にとって、日本はどれほど恩義が
あり親しみを感じているか、旅行で訪れた日本の思い出、日本人の
印象を熱心に語るフランス人たちに、もう胸がいっぱいで思わず
泣いてしまいそうだった。

Merci beaucoup....私たちがありがとうと言うのも変だけど、やっぱり
ありがとうの言葉しか見つからない。

競りに掛けられたマグナム11本セット
トランクみたいな革張りの箱
なんてエレガント〜!

2011年3月6日日曜日

腰痛...相哀れむ


土曜日の朝、車で息子を弓道の稽古に送った後、久びさに
イエナのマルシェに立ち寄る。
お目当ては、もちろんチボーさんの有機野菜。
まだ9時前だというのに、ここだけはもう行列ができている。
ここの野菜の味を知ってしまったら、もうスーパーの野菜なんて
食べられなくなるだろう。
自然の甘みや辛みがしっかりあって、大地の香りがする本物の
野菜を求めて遠方からみんな買いに来ている。
ルッコラ、水菜、からし菜、ブロッコリー、ハーブ類....
色とりどりの人参、大根などなど、特に当てもなく思いつくままに
パニエに入れる。
あれれ....なんだか緑黄色野菜ばっかりになっちゃった。
身体がそれほど緑の栄養を求めているってことだろうか?!
たっぷり、一週間分の野菜を買い込む。

そろそろ春野菜も出始めてくる頃...


夜はNちゃん、Kちゃん夫妻、Hちゃんと写真家のWちゃんが遊びに
来る。プラス子どもが女子、男子それぞれ2人ずつ....
またまた賑やかになりそうだ。

半年前から、AOKIのSalon de théでランチタイムのキュイジニエ
として仕事を再開しているNちゃん。
長時間の立ち仕事が祟ったのか、数週間前から背中の痛みがひどく
「これって内蔵?それとも整体だろうか?」というので、大急ぎで
まずは知り合いの整体師を紹介した。
私も含めて、腰痛で苦しんでいる人が周囲にどれほど多いことか....。
整体、気功、鍼灸、骨の専門医....などなど、人に勧められた
ところはほとんど試してみたけれど、たいていはその場しのぎで、
忘れた頃にまたまた痛みが逆戻り。
ストレッチをしたり、せっせとジムに通って筋肉が減らないように
トレーニングしていても、腰痛を完全に治すのはもう無理だろう。
これは人間が2足で歩くようになって以来の、永遠の宿命なのだ。
Nちゃん、辛いけど腰痛とはこれからもずっと長いお付き合い。
がんばって乗り越えようぜ〜ィ!

整体に行って、少し元気になったNちゃん。
相変わらずパワフルに忙しそうに....紙袋をたくさん抱えてやって
来た。
デザートにシャンパン、ワイン、タッパの中には生春巻き、スープ
などなど。実家のお母さんから送られてきたという、貴重な
百合根まで持ってきてくれた。わ〜い、百合根大スキ!
友だちの家のごはんに来るときくらいもっと楽してたまには
手ぶらで来たっていいのに....なんだかんだと気を配り、忙しいのに
みんなが喜びそうなものをあれこれ両手一杯にしてやって来る。
まったく....Nちゃんという人はそういう人なのだ。

思いがけず、Nちゃんがいろいろ持って来てくれたおかげで
今夜は前菜がたくさん。うれしい!
この分じゃ、締めのパスタまでいけないかもね?!
子どもたちをまず先に食べさせて、大人は後からゆっくり....。
日本から1年ぶりにパリに戻ったWちゃんの近況報告を聞きながら、
大人たちもチビチビ....KちゃんとWちゃんの独身時代の意外な
繋がりで、話しが盛り上がる。
人の縁ってホント面白いな...。

Nちゃんの絶品!グリンピースのスープ
味噌味のにんじん生春巻き
栗入りミートローフ
ふわふわ食感の里芋サラダ
サケの南蛮漬け
生ホタテのカルパッチョ
鴨のバルザミコ風味サラダ

さ〜て、この貴重な百合根をどうやったら一番美味しく食べられる
だろうか。オリーブオイルとにんにくでシンプルに?
Nちゃんが手際よくペペロンチーニ風に仕上げてくれる。
アルデンテの細麺にオリーブオイル、程よく鷹の爪が効いていて
百合根のホクホク感を引き立てる。
「おいし〜い!!!」キリッと冷えた白ワインがすすむ進む。

百合根のペペロンチーニ

百合根の後は新作、豚味噌パスタ。
このパスタを今夜友だちに披露することにしたのは、リベンジ的な
意味があってのこと。
実は先々週あたりからバターと味噌の組み合わせに凝りはじめ、
スープや炒め物にと意欲満々であれこれ作ってみた。
ある夜、新作パスタとして自信満々でテーブルに出した時のこと。
夫はそのお皿をほとんど半分近く残した。誰もが認める無類の麺食い
だというのに....だ。これはかなり珍しいこと。
心優しい息子は「美味しいけど、ちょっと甘いから....馴れてない
味だから....ごめん」と3分の1ほど残している。
たった1、2滴加えたハチミツの甘みが判るなんて、恐るべし。
どれどれ???....ホントだ。確かに甘みが気になるかも。
でもバターと味噌の絶妙な風味、隠し味の豆乳がソースをほどよく
クリーミーにして、パスタの茹で加減もバッチリ最高の出来だ。
好みが違う....?!だとしても、どうも納得がいかない。
よ〜し、再度挑戦。
今度はハチミツを入れないで作ってみよう。
豚の薄切りと白髪ネギをバターで軽く炒めて、茹で上がった
パスタと味噌、豆乳をさっと加える。刻みネギと海苔をたっぷり
散らして、は〜い出来た。
ところがその夜も夫の反応はいまいち。
味噌が濃すぎる、コーンを入れたらどうか。
え〜っ、それじゃ味噌バターコーンラーメンじゃない!
そんなやり取りをしているうちに、思わぬ方向に流れ、ついに
口論になってしまった。
もう結構。食べてくれなくていいです!
夫婦揃って食事の好みがいつも一緒なわけないし、別にいいや...
と思いながらも、かなり悔しい。
けっこう自信作だったのに。
そんなこんなで、今夜、再々度の豚味噌パスタとなったわけだ。

そのいきさつを散々話したから、みんな相当お腹がいっぱい
だったはずなのに、「美味しい」と言って食べてくれた心優しい
友だち。それなのに、それなのに、今夜も夫は認めようとしない。
黙って笑って半分残す。んニャロ〜!!
もうここまで来るとお互い意地、根比べみたいで可笑しい。
近いうちに再々々度、挑戦。諦めないもんね〜。

豚味噌パスタ、ぜひ食べに来て。
美味しいよ〜!!

デザートはAOKIの試作品、小豆のミルフォイユ。
チョコレートベースのパイ生地の間に小豆が....甘み控えめで日本茶が
合いそうな和菓子感覚。これは小豆ガレットに続いて人気が出そう。
Hちゃんが迷わずシュークリームをパクつく。
フレッシュな生クリームがたっぷりのAOKIのシュークリームは、
予約しないと昼前に売り切れてしまう人気商品らしい。

和菓子感覚でオシャレな小豆のミルフォイユ
ダントツ人気のシュークリーム


2011年3月2日水曜日

変装誕生日会


3月1日。
ウヒャ〜、早いな。ついこの間、年が明けたと思ってたのに....
もう3月だって。
それだけ毎日慌ただしく時間が過ぎて行くということ。
新年早々、心に誓った志を思い出す。
マズい....このままいったら、あれれ...もう夏休み?!なんてことに
なりそうだ。
そろそろ気を引き締めて、ちゃんとやらないと。は〜い!

夜は友だちM穂ちゃんの誕生日会。
会場はレストランLe Petit Verdot、本人にはなにも知らされていない
サプライズ。15人ほどのとってもintimeなパーティらしい。
ご主人のZから、なにかアトラクションを考えてと言われてる。
パーティを盛り上げる余興といえばダンス、歌、漫才?!
う〜ん、どれもできそうにないし、どうしよう....。
そうだ、ズラがあった!
みんながズラや帽子を冠って、彼女が来た時に一瞬ダレが誰だか
判らないような変装するってのはどうだろう。
主催者のZにもこれは内緒にしておこう。
そんなわけで、家にあった使えそうな冠りもの、お向いのMちゃん
にもお願いして娘の変装グッズを借りる。
時間厳守で19時に集合。私が到着する頃にはすでにみなさん
準備万端の出で立ち。みんな可笑しい!
娼婦、イスラム、ドイツ軍武装、スラッシュ....かなり怪しい。
なんだかんだみんな嫌いじゃないんだね....こういうの。

19時半....なにも知らない今夜の主役が階段を上って来る音が.....。
まずはひとり息子のJがあたりの異様な空気を感じて、無言無表情で
立ち尽くす。
次にM穂ちゃん。なに?なに?なに?!の表情から、笑いながら
ダレ?ダレ?ダレ〜?! Zも続いてご入場で、みんなで大爆笑!
「おめでとう〜!!」
ワ〜イ、大成功だ。やったね〜!!
Y子ちゃん、Tちゃんと抱き合って喜ぶ。
シャンパンで乾杯だ〜。

娼婦、スラッシュ、イスラムの娘...
みんな好きね〜。

魚介と野菜の前菜
プリプリの半生海老とムース、
魚介の出汁が効いた絶品!

鴨のローストとサラダ
タラと紫イモのアワアワ...
アンコウと野菜のポアレ
豚ヒレと野菜...
野菜の自然な甘みが素晴らしい

おいしいお料理が次々と運ばれ....ワインも素晴らしい。
この店のオーナーでソムリエのHさん、彼が勧めてくれたワインは、
まずハズれたことがない。
ワインにぴったりのお料理も季節の野菜をふんだんに使っていて、
どれも繊細で軽いのがうれしい。

宴たけなわ.....みんなからひとりずつM穂ちゃんに言葉を。
本人を目の前にしてちょっと照れくさいけど、思い思いに彼女に
ついて親愛の気持ちとありがとうを込めて....。
彼女は私よりも年下だけれど、どこか頼りたくなるような懐の
深さがあって、物事に簡単に動じない男前の度量がド〜ンとある
女性だ。しょっ中会って話すという関係ではないけれど、私が
いつかホントに自分でもうどうしようもできないような状況になって
しまった時、もしかしたら衝動的に彼女のもとに駆け込んで行く
かもしれない。その時きっとワインかなにかを開けて、黙って
じっくり話しを聞いてくれるんじゃないかという気がするのだ。
それってなんだろう....大人というのとも違うし。
たぶん彼女の真の強さと優しさのような気がする。
こうして外国で出会えたのもなにかの縁、頼りにできる友だちが
いてくれるのはとても心強くありがたいことだと思う。

今宵のZ。こんな人、昔いたような...。
パリ豪華3ショット。
みんなちょっと飲み過ぎじゃありません〜?!
ダ〜レ? この眼鏡、チョーうけます!
この方も怖すぎる〜?!
シェフ特製のケーキ
M穂ちゃん、おめでとう〜!