2011年4月25日月曜日

ヴァカンス2週目


昨日も今日も、きっと明日も....記録的なお天気が続いているパリ。
日焼けが大好きなフランス人は、タンクトップにサンダルで
もうすっかり夏気分だ。
とはいえ、南仏では既に深刻な水不足が懸念されているらしいし、
4月に夏日和が続く年は冷夏になる確率が高いという。
それじゃ、いまのうちに太陽をしっかり享受しておかないとね。
さっそくMちゃん親子を誘ってパリから50キロほどの森、
Rambouilletにピクニックに出かける。

当日の朝作ったとは思えない
豪華なお弁当!?

途中、ヴェルサイユの手前で少し渋滞したけれど、ほぼ予定通り。
1時半にはそれぞれが作ったお弁当を広げて、みんなでおむすびを
パクつく。
あ〜、気持ちいい。
外で食べるごはんって、どうしてこんなに美味しいんだろう!
日差しもそれほど強くなく、新緑の木々を揺らす風が心地いい。
ご飯が終わると子どもたちは、待ってましたのサッカー。
大人はのんびり寝ころがって日光浴。
「こんなところで本読んだら気持ちいいのにな〜」とMちゃん。
確かに....静かで読書に最高だ。

子どもたちも自然の中でうれしそう!


Rambouilletの森は、ヴェルサイユに比べると旅行者はほとんど
いない。
フランス人の別荘地のようなところで、かつてはナポレオンも
住んでいたお城が森の一角にあり一般公開もされているらしい。
森の中には自然動物園も併設されていて、特に鷲のスペクタクルが
素晴らしいことで知られている。
調教されたフクロウや鷲たちが観客の頭上すれすれを飛ぶ姿は、
まさに圧巻もの。
その堂々たる立ち振る舞いに、神々しさすら感じる。
見るからに賢そうな鳥たち....でもいったいどうやって
コミュニケーションをとるんだろう。
羽を広げたら優に3メートルはある。
鷲たちを自在に操る調教師たちの腕には、えぐられたような
生キズが....思わず目を背けたくなるほど痛々しい。
それを見た息子が奮い立つように「カッコイイ!!」を連発。
すっかり虜になっていた。


4月とは思えない炎天下の昼下がり、私たちはすっかり鼻の頭が
赤くなるのも忘れて見入ってしまった。

翼を広げて飛ぶ姿はあまりに早くて
写真に撮れず....
新緑がすばらしい季節、
心まで洗われる気がする。
出番を終えて控えに戻った鷲たち。

そろそろパリに戻ろうか....という頃に、Mりちゃん親子から
夕ご飯のお誘いが。
「テラスでイタリアンはどう?」
「いいね!」
で、Chemin vertの馴染みのイタリアレストランへ行く。

ソースなしのPIZZA BIANCA、絶品!
名物のルッコラピザ
タコのカルパッチョ

子どもと大人、ふたつのテーブルに分かれて、大人たちは白ワイン、
ボーイズ3人はコーラとオレンジーナでチンチ〜ン!
まずはつまみにピザ。ここのは薄生地で軽くてとっても美味しい。
もちろんタコも忘れてはならない。
Mちゃんにぜひ食べてもらわなくっちゃ。
そのあとはペンネアラビアータにボンゴレ〜!

今日は一日、あまり原発の話しもしなかった気がする。
パリにいると、ついパソコンやiphoneでニュースをのぞいてしまう。
いつのまにかそれが習慣になっていたから....。
今日は思い切って出かけてよかった。
新緑の森のエネルギーをたくさんもらって、元気になれた気がする。
誰よりも喜んでいるのは、もちろん子どもたちだけれど。


この時期だけのお楽しみ。
スズランの季節...

ヴァカンス最終日の日曜日、M帆ちゃん一家とレストランTOYOの
N山家が家族で遊びに来る。
ちびッコにガールズ&ボーイズ....子どもが6人。
それはそれは賑やかなこと!
M帆ちゃんが持って来てくれた復活祭の卵形チョコが飾られた
ケーキにロウソクを立てて、N山くんのお誕生日をお祝いする。
「40歳、おめでとう〜!!」

オーナーとしての貫禄も漂ってきて、
これから益々楽しみな料理人!

2女1男の優しいパパ


眠いけど眠れない....
ちびッコたちは仲良く映画。

2011年4月18日月曜日

復活祭のヴァカンス


PAQUES 復活祭の休暇がはじまった。
またまた2週間のヴァカンスだ。
このところ初夏のような気持ちのいい陽気が続いているパリ。
みんなどこへ行ってしまったのか....ジムはガラ空き貸し切りだし、
スーパーマーケットも心なしか人が少ないような....。
フランス人のヴァカンス好きは有名だけど、それにしてもみんな
よくお金が続くなと感心する。

我が家は特に予定もなく、気持ち的にはちょっとのんびりモードで
いつもと変わらない毎日だ。
息子はちょっと時間を持て余しているけど、日本のことを思うと
なんとなくそんな気分でもないことを察しているらしい。

週末は友だちの結婚式へ。
モデルのSATYAが、つい去年まで一緒だったはずの先妻といつの
間にか別れ、再婚すると聞いたのは先月こと。
電撃結婚だったんだ!?
お相手はベルギー人の実業家、CAPUSINE。
お似合いのステキなカップルだ。Félicitation〜!


パルファンの広告でお馴染みの新郎SATYA

ベルギー人の花嫁、CAPUCINE

パリを出ると見渡すかぎり広がる
菜の花畑

翌日はパリから150キロ、フォンテンブローの先にあるI家の田舎の
家へ行く。
同じく近くに別荘を持っているスタイリストのM香ちゃん親子も
やって来て、さっそく庭でバーベキュー。
優しい春の日差しの下で気心の知れた親しい友だちと、尽きることの
ないおしゃべり。
その後のガリアーノ、恐るべしLVMH、そして放射能のこと....。
子どもたちは無邪気にそれぞれの将来の夢を語り合っている。
絶滅しかけている野鳥の保護をしたい...だって。

心配ごと、怒り、恐怖....ため息まじりながらも、現実を受け止めて
しっかり生きなければと思う。
子どもたちの未来のために。

パラソルの下はマダムたちが独占、
若者はパナマ帽で日避け。

I家の一人娘Aが作ってくれた
ガトーショコラ


Mちゃんの家の窓から望む、
エッフェル塔に沈む太陽

Tちゃんから頂いた
PAQUESのチョコレート

2011年4月7日木曜日

HOPE JAPAN


日本に希望を届けようと行われた慈善公演HOPE JAPANを
見るため、シャンゼリゼ劇場へ行く。

今回のこのチャリティイベント、参加する出演者がとにかく
ものすごい。
現代バレエの女王Sylvie Guillem、オペラ座のエトワール
Nicolas Le Riche、オペラ界からはソプラノのNatalie Dessay
世界的なピアニストMartha Argerichなどなど...錚々たる顔ぶれ。
短い時間でよくこれほど豪華な出演者を集められたものだと
誰もが驚く夢のような競演だ。
しかも会場は由緒正しきシャンゼリゼ劇場である。
当然、140ユーロのチケットは即完売。
本来この日は小澤征爾が「フィガロの結婚」を指揮する予定に
なっていたらしく、それがキャンセルになったので、急遽
この慈善公演に当てられることになったという。
なんという巡り合わせだろう。
「あいにくのキャンセルがこのような素晴らしい公演に変わる
ことになってうれしい」と小澤征爾自身もパンフレットに自筆の
メッセージを寄せている。

小澤征爾氏のメッセージ

イラストデザインは高田賢三氏

開演20時。
はじめに高田賢三氏があいさつを。
祖国の突然の震災に哀しみ憂う心のうち、日本のために集まって
くれたアーティストや観客への感謝の思いを、ひとつひとつ言葉を
選びながらけっして流暢でもなく、時折こみ上げてくる思いに
詰まりながら...。
人前で話しをするのは、おそらく賢三さんが一番苦手なことのはず。
日頃の賢三さんをよく知っているだけに、これこそが精一杯の
できることなのだと思うと、じんと胸が熱くなる。
割れんばかりの拍手に照れながら、ペコリと頭を下げて舞台を去る。
さあ、いよいよ舞台のはじまりだ。

オープニングはもちろんSylvie Guillem。
スポットライトにうかぶ彼女の強靭でしなやかな肉体に、のっけから
言葉を失う。息をつく間もない.....圧倒的な存在感。
続いてイギリス人の女優Natasha Parryと日本人男優の俳句の朗読。
Natasha Parryはなんと演劇界の重鎮Peter brookの奥さまだという。
大変な親日家だそうで、今回は自らの俳句を披露した。

世界的なソプラノ歌手Natalie DessayとテノールのRolande Wilsonが
「ホフマン物語」のアントーニアを歌い終わり、俳優のLambert
Wilsonが静かに登場。
被災地 仙台から送られて来たという一通の手紙を朗読しはじめると、
会場は水を打ったように静まり返る。
そして宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」を読みはじめた頃には、もう
だめ。プチッと堰を切ったようにどうしょうもなく涙がポロポロ。
「......慾はなく、決して怒らず、いつも静かに笑ってる....」
まるで仏さまのような精神.....全然正反対の私でも、いまはこれ
こそニッポン人の原点なんだと、誇らしく叫びたい気持ちになる。
パリに来て以来、いや生まれて今日まで、これほど日本のことを
考えたことがあっただろうか? 
家族、友だち、生まれ育った茅ヶ崎....。
ニッポン人に生まれて良かった。
ニッポン....心にあるのはずっと日本のこと。

フランクフルトに住むダンサーの島地くんも同じような気持ち
だったらしい。だからこの慈善公演の出演が決まった時の喜びは
ハンパじゃなかった。
「日本のためにいま僕ができることは、踊ることだけだから」と
所属するフォーサイスカンパニーの公演の合間をぬって、
フランクフルトから飛んできた。
島地保武くんはストリートダンサーから単身ドイツに渡り、
現代バレエの巨匠フォーサイスに認められ入団したという、異例の
有望株だ。知り合って以来、ここ7年ほどパリ公演のたびに舞台を
見せてもらっているけれど、目覚ましい成長ぶり。
今回は大御所ダンサーの中で、かなり緊張気味だったけれど、
ニッポン人の強い精神性を厳かに見事にソロの舞台で踊りきった。
ブラボ〜!

島地くんの後は日本人声楽家、そしてオペラ座のエトワール
Nicolas Le Riche、舞踏家Akram Khanと完成された超人的な
ダンスが続き、いよいよ世界的ピアニスト Martha Argerichが
登場。Nelson Freireとデュオでシューベルトを弾く。
久びさに見るアルゲリッチ、すっかり白髪になってしまって
びっくりだけれど、躍動感のある力強い演奏は昔と変わらず
素晴らしかった。

そして大トリを飾ったのがジンガロのBartabas。
もちろん愛馬Soutineを引き連れての登場。
予想通り.....神秘的で威厳のある存在感は健在だ。

満場総立ちの大喝采!!

参加アーティストは総勢21名。
写真撮影ができなかったので紹介できないのが残念だけれど、
それぞれが世界トップクラスのアーティストたちだ。
会場を埋め尽くした約2000人の観客は総立ちで大喝采。
日本を思う人たちの思いに感動で胸がいっぱい、夢のような
一夜であった。

公演の入場料15万ユーロは義援金として日本の被災地に
送られるという。

またこの模様はテレビ放映もされるそうで、フランスでは
FRANCE2 le mardi 12 avril /00h30
日本ではNHKで近いうちに放映されるそうです。
ぜひぜひ、お見逃しなく!!


会場前で演劇界の神?! ピータ ブルックを発見!

ダンサーの島地くんと奥さまのはなちゃん
はなちゃんも新国立劇場の名誉ダンサーなのだ!