2010年9月14日火曜日

bigarrade


数日前、友だちのAちゃんから「ビガラードを予約していたんだ
けど、一緒に行くはずの人がキャンセルになっちゃったから、
よかったら誰か誘って行ったら?」と親切なお声が掛かる。
ビガラード、なかなか予約が取れないレストランという噂は聞い
たことがある。先日20年のパリ滞在に終止符を打って帰国した
Yちゃんも「いろいろ行ったけど、ここのフレンチには感動した」
と言ってたっけ。
早速、美味しいモノ大好き友だちのY子さんを誘って出かけることに。

17区の外れにある小さな店はオープンキッチンが半分を占め、
20人も入ればいっぱいになってしまうほど小じんまりしている。
予約の12時半をかなり過ぎて30分遅れで到着すると、すでに
満席。日本人の客が多いと聞いていたけれど、この日は私たちだけ。
年齢的にはミディアム層のムッシュとマダムがプライベートでお食
事という雰囲気だ。
メニュは45、65ユーロの二つ。お昼なので軽めの方を頼む。

アミューズに出てきたのは、フォカッチャとトスカーナ産オリーブ
油。中国茶の小さな茶碗に入ったオイルがかわいくて、思わず飲ん
でしまいたい気分だ。



続いて、小魚のフライにグリルしたライムが添えられて登場。
ピリッとくるのは、なんと黒七味。粗塩の加減も程よくて、
一昨日イタリアンで食べたフライに比べると、かなり軽くて
上品な仕上がり。


つぎに運ばれてきたのはお肉料理。
厚切り牛のカルパッチョ。ネギにエゴマ油、そしてここにも
黒七味が....。柔らかい極上生肉にエゴマの香ばしい香りが絡
みまったりと舌の上でトロけていくようだ。



3皿目はCHIPIRON。
グリルしたプリプリの小イカにほうれん草&コリアンダーを合わ
せたサラダ風。ここでもエゴマ油が使われていて、ホッとするよ
うな和風仕立てになっている。



まもなく運ばれて来たのは大きめのお皿にのせられた
ROUGET&鴨の舌、イチジク。
お皿の白い部分が広すぎてちょっと写真映えしないけれど、
お皿が大きすぎるわけじゃない。お料理が美しくとっても
上品すぎるのだ。
ROUGETはイトヨリに近い白身魚で、皮がパリッ中は半生
の絶妙な焼き加減が最高だ。醤油ベースのソースもピッタリ
合っている。
その横のピョロッとしたキツネ色のモノが鴨の舌。
見た目、食感はフォアグラ?! でももうちょい歯ごたえが
あるかな。フォアグラを食べた時のような脂味が微かに舌に
残る。
なるほど〜、それで柚子コショウとイチジクが添えられてい
るんだ。納得。




お料理の締めは、ふたたび魚。
柚子風味の鯛のグリル、そしてナスの田楽が運ばれて
くる。ここにイカスミと燻製したにんにくを合わせた
ペーストとシェーブルが添えられている。
ナスはほぼ田楽の原型に近い京風白みそ仕立てで、ほど
よい甘みの焦がしみそがうれしい。軽めのシェーブルも
西京味噌と絶妙に溶け合って、意外や意外、面白い。




「結局、全部でなん品出てきた?」とY子さん。
え〜、なん品だっけ? 食べるのとおしゃべりに夢中で、
数えるのをすっかり忘れていた。写真も全部撮れてないかも....。
ひとつひとつが軽くて少量、でもこれだけ手を掛けた繊細な
お料理が食べられるとは....。
人気の店で2ヶ月先まで予約が取れないとは聞いていたけれど、
まったく期待以上、感動ものだ。
実は私たち、この店が今年ミシュランの2つ星を取ったことな
どまったく知らず、いつものお気楽ランチ「新学期もあけたし、
たまには女同士でフレンチもいいね〜」だったのだ。

3種のチーズの後は、デザート。
こちらもすべてプティサイズで出てくる出てくる、美しいデザー
トたちが....5、6皿出てきた気がする。
最近フランスではこの店のように、和風だしや日本の調味料を使
うソフィスティケートされたフレンチレストランが増えている。
「日本料理をリスペクとして、こんなに愛してくれてうれしいね」
と、いつも手厳しいY子さんも満足した様子。


カカオがのったカシスのムースはレタスと一緒に食す


レモンのムース赤ピーマンのゼリー仕立て
濃厚チョコレートのムースもビターで大人の味わい


食事を終えて、店を出るとすでに4時近い。
私だけお昼からこんなに美味しいごはんを食べて、
夫と息子にちょっと申し訳ない気もする。
そうだ、最近オペラにできて評判の日本人パンや「AKI」で
おやつを買って帰ろう。心ばかりの罪滅ぼし?!
焼きそばパンに、あんぱん、カレーパンもいいな。





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