2011年10月13日木曜日

銀閣寺の花


朝、9時40分。
大急ぎで仕度をしてメトロに乗り込む。
澄み渡るような素晴らしい秋晴れの朝...めざすはギメ東洋美術館。
「京都の銀閣寺からお花の先生が来ているんだけど、運が良ければ
ワークショップを見学できるかも? 行かない?!」
Nちゃんから前々日声を掛けてもらい、当日の朝にOKとなった。

銀閣寺...数ある京都のお寺の中でも、東山文化を花開かせた足利家の
美意識の高さ、簡素な品位...いわゆるワビサビの世界のお手本の
ようなこのお寺には特に心魅かれるものがある。

今日はこの銀閣寺の堂内に毎朝花を供えている、華務花方の
佐野珠賓さん自らが指導するという貴重なワークショップで、
12名の定員は予約開始と同時にいっぱいになてしまったらしい。

ギメ東洋美術館の中にある日本庭園

花器、鋏...お花の道具も素晴らしい

野に咲く自然の草花を生ける...

無双真古流、立て花とは、銀閣寺に伝わる伝統的な仏様にお供えする
花の生け方で、草花のあるがままの姿を立たせた状態で調和させる
ことで、和の美が生まれるというもの。
まさに禅の精神そのものなのだ。

ワークショップに参加しているフランス人は、かなり日本通の
ようだけれど、案の定正座ができない。
モゾモゾ落ち着かない様子で、クッションを取りに行ったり、
断末魔のような顔でもがく人がいたり...
とても禅の精神どころではない。当然か...。

禅の精神...きっと判らないだろうな?!

先生がそっと手を加えるだけで、空間が生まれる。

神に最も近いと呼ばれている佐野珠賓さん。
40を過ぎたくらいの年齢だろうか。
髪を後ろに束ね、背中がスッとしなやかに伸びていて、彼女が
そこに立っているだけで、凛とした空気が漂う。
迷いのない、くすみのない素の美しさ...もうどんな言葉も陳腐に
思えてしまうくらい、ただただ...素晴らしい。

こちらに5週間滞在して、この後もフランス各地で
日仏文化交流のためのワークショップを行うそうだ。


日頃の雑念を忘れ清々しい体験をして、すっかりいい気分になった
わたしたち。
「お腹がすいた!」
先ほどまで忘れていたはずが.....空腹には正直だ。
Nちゃん号に乗り込み、14区のフレンチLes Petites Sorcièresへ。
噂に聞いていた人気のビストロ、メニュ20eurosの前菜&メインの
コースを注文。
昼時であっという間に満席になる。

カラッと揚がったイワシのフリット、絶品!

アーティチョークと卵のグラタン風

メルランのムニエル...身が締まって美味しい♡!

子牛のエスカロップ&ポレンタ

今流行のカジュアル系ビストロながらも、丁寧に作られたお料理は
どれも美味しくボリュームもバッチリ。
ここはフレンチ好きな友だちを連れてまた来よう。

家に帰って、さっそく頂いたお花を生ける。
お香を焚いたりして、にわか作りだけれどちょっと禅の気分...。
命あるものを慈しみ...植物のあるがままの姿を...空間...調和...
先生が話していた言葉を思い出しながら、心を込めて...。
時にはこんな時間もいいなと思う。

花器がないので、とっくりに生けてみた...


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